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ジメジメした夏の午後十時過ぎ。
俺は自殺の名所と言われる踏切を訪れている。
周囲に人通りは無い。聞こえるのはカラスの鳴き声くらいだ。
この場所には、幽霊が出るという噂がある。
それは男だったり女だったりと、証言はまちまち。
だが、共通しているのは〝瞳が潰れている〟ということ。
胡散臭い話だが、酒の肴くらいにはなるだろう。
そう思って俺はここを訪れたのだ。
「ん?」
不意に俺は踏切の先で、ふらふらと彷徨く女の人影に気付く。
「お。女じゃん」
少し悪ノリしてきた俺は、へらへら笑いながら女に近づいた。
「誰かいるのぉぉ!?」
だが俺の方を向いた女性を見て、俺は戦慄した。
なぜならその顔には瞳が無かったのだ。
「うわあああっっ!!」
俺は恐怖の叫びをあげ、命からがら自宅へと逃げ帰った。
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