第2話 魔神が目覚めた日

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アルシュバンが入ってくると、食堂に集まった生徒たちが、ひそひそと話し始めた。 「王様、何の話かな?」 「さぁ、てか、あの子誰なんだろね?」 「昨日から思ってたけど、あの子可愛いな」 「サイテー」 その会話を聞いてか、莉菜が向かいの席から話しかけてきた。 「ねぇねぇ、あの子王女様かな?」 「そうかもな。それより、国王さんが話すみたいだぞ」 「勇者諸君! 朝食はお口に合いましたかな? 儂の娘を昨日紹介しそびれましたのでな。この場を借りて失礼しますぞ。この娘はロザリーヌ。儂に残された最後の子どもじゃ」 アルシュバンの一言により、ざわめきがどよめきに変わった。 「最後の子ども?」 「どういうことだ?」 景と莉菜も顔を見合わせた。莉菜が首を傾げてくるが、景は両手を開いて知らないよのポーズをとる。 「言葉足らずでしたな。実は儂には3人の娘がおったのじゃが、召喚の儀に2度失敗しましてな。上の姉二人は亡くなってしまったのじゃ。ロザリーヌが成功できねば、リヒト王国は魔族との戦いに完全に敗れておっただろうの」 景は戦慄した。 この王国が敗れていたかもしれないことにではない。自分の娘を、成功するかしないかも分からない、命がけの儀式に駆り出す国王がいることに。     
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