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第2話 魔神が目覚めた日
翌朝、景は異世界オフィーリアのリヒト王国のリヒテル城の一室で目を覚ました。目を覚ましたといっても、自分で起きたわけではない。
「ほら、景君。食堂でみんな朝ごはん食べてるから、早く!」
「…はいはい」
「もう、はいは一回、はいはいは赤ちゃんでしょ?」
と、景を急かすのは、幼馴染の莉菜だ。今朝、朝食を食堂で食べてくれという国王アルシュバンの伝言を、景に知らせに来てくれたはいいが、まだ就寝中の景を叩き起こし、こうして急かしてくるのだ。
景としては、溜まったものではない。
「で、白石。食堂ってどこ?」
「もう、景君って本当人の話聞いてないよね。昨日給仕さんが言ってたと思うけど」
そういえば、寝る前に給仕の女性が食堂がどうのとか言っていた気がする。
眠気が酷くて、半分以上聞いていなかった。
「あー、うん。とりあえず行こう」
景は、頭を掻くと莉菜と連れ立って食堂へと足を運んだ。
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「集まってくれましたかな、勇者諸君。おぉ、全員おりますの」
景と莉菜が食堂で食事を済ませた頃、国王であるアルシュバンが、昨日の少女を連れて現れた。
鼻の下に生えたちょび髭が、心なしか昨日よりも艶々している。
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