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第3話 転移二日目にして放浪
昼食を済ませた景は、図書館に向かうべく城内の廊下を歩いていた。
勿論、図書館の場所など知らないので適当に歩いているだけなのだが。歩いていればそのうち見つかるだろうと思っていたのだが、これが中々見つからない。
やはり、億劫でも城内の誰かに聞くべきか。
「景君!」
莉菜の声に呼び止められ、景は足を止めた。
振り向くと、莉菜と春香の二人がいた。
「何だ、白石? 委員長と二人で」
「えっとね、一緒に訓練場行かない?」
あー、なるほど。
莉菜のことだ。大方、委員長に誘われたが一人でいる僕を見つけて、放っておくわけにはいかない、とでも考えたんだろうな。
全く、本当にお節介なやつ。
「いや、遠慮しとくよ。僕は図書館で本読みたいから」
「え、うーん。わかった。……ちなみに、図書館だったらこの廊下の反対側にある階段を登った先にあるよ」
さすが莉菜。適当に歩いてれば見つかるだろうと考えているとこまでお見通しか。
「へぇ、そっちか。ありがと」
莉菜はじゃあね、と手を振ると委員長と一緒に廊下の向こうに消えていった。
去り際の委員長の、「莉菜のわざわざの誘いを断りやがってこの野郎」的な目つきに若干の寒気を感じたのは、きっと気のせいだろう。
それから景は、陽が傾くまで図書館で読書をしながら過ごし、今は部屋へと向かっている。
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