19 柔らかくて温かい

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 面白くなんてないメッセージのやりとりを何度も読み返したり、クリスマスプレゼントを用意してみたり。今までこの時期にいた彼女に贈ったプレゼントは全部一緒に選ぶことのほうが多かった。そうしたら考える手間が省けるだろ? 一緒に選べば外れはないし、向こうだって欲しいものをもらったほうが嬉しいだろうし。 「……ったく」  こんな、これをもらった喜んでくれるかどうか考えるなんてこと、面倒だろ。どうやったって、次に会う時までわからないことをあーだこーたと考えたって仕方がない。そんなのわかってるのに、これを買ってからずっと考えてる。  喜ぶだろうか、って。  っつうか、喜べよ。高かったんだから。 「……」  あんたにきっと似合うって、すげぇ想像して、すげぇなんかドキドキしながら買ったんだから。人の心臓こんなにしたんだから、ちゃんと明日これを見たら、喜んで笑えよ。  そう勝手なことを胸のうちで溢しながらついた溜め息はどこか熱くて唇が震えてしまった。
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