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「言い方を変えてあげよう。君にもわかるように。なぁ、君は要を女と勘違いしてなかったか? 男だとわかっていて抱いたのか? 本当に? 本当にわかってたか? 男同士だってことをちゃんと理解していた? 理解してたら、こんな場所でこんな軽率なことはしないだろう? でも」
した。誰にいつ見られるかもわからない場所で、こんな恋人同士にしか見えないことをしたりして、わかっていないんじゃないのか? 男同士だっていうことを。職場だぞ?
「それに君は無意識なんだろうが、無意識だから質が悪い」
無意識? 何がだよ。わかってる。要が男なのも年上なのも上司なのもわかってて、それでも俺はこの人と。
「そう、ノンケの君にはきっと本当の意味では一生、ゲイのことはわからないよ」
「そんなことっ!」
「ないか? どっかで君はやっぱり男女の恋愛の考え方をしてると思うよ。そうだな、たとえば……要の手料理が食べたい、とか思ってたりしないかい?」
「!」
「やっぱりだ。どこかで要を男女の恋愛に当てはめようとするから、そんなことを思うんだよ」
たまたま好きになった人は同性である要だった。ただそれだけじゃダメなのかよ。
「君は女性と付き合える。要はそれはできない。今はいいかもしれないけれど、それはきっといつかズレを生む。要は特別な存在、もちろん知性だって飛びぬけてる。ちゃんと、君との将来への不安を理解してくれたよ」
「……は?」
「だって、そうだろう?」
何、言ってんだ?
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