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もちろん、そんな妄想は一瞬のうちに砕け散ったけど。
あ、眼鏡越しは妄想どおりだった。でも、現実はそんなエロ動画みたいなことにはならないわけで、綺麗で美人な名前とは裏腹に、鬼の子もビビるっつうか、あんたこそが鬼なんじゃねぇの? ってくらいにスパルタな上司だった。もちろん、男。細くて、白くて、清潔感は溢れてるけど、触れたらその瞬間、眼力だけで向かい合った奴の心臓を刺し貫けるんじゃねぇかと思える。おかげで営業成績はたしかに伸びたけど、俺たちの寿命は縮んだって、営業連中がぼやくくらいには厳しい人。
そんな、厳しいスパルタ花織課長がエロ動画見てた。
部下である俺にエロ動画を見てるとこを見られて、顔を真っ赤にして、今にも泣き出しそうなほど潤ませた瞳を大きく見開いていた。
ビビったのはこっちだから。あの人が昼休憩にエロ動画を見ていることのほうがよっぽどビビるし、こえぇよ。
「マジで……ビビった……」
ポツリと呟いた声が今度こそ誰もいない廊下に響いていた。
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