待ち人は夜明けとともに

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   私はひとつ息をつくと、立ち上がり、スカートをはたいた。そして彼に向かって思い切り舌を出す。 「……何よ、冷たいの。もっちゃん、モテないでしょ!」  そう言うと立ち上がり、コンビニを後にした。  全速力で走り、しかし体力の無い私はすぐに疲れ、立ち止まる。  そっと振り返ると、もっちゃんはもう店の中でレジを打っていた。  ……つまらないの。  私はあてもなく、夜の街を歩き回った。  泊めてくれる男を探すのも、疲れてしまった。まだ高校三年生なのに、賞味期限切れなのかもしれない。世知辛い世の中だ。  深夜のスクランブル交差点の真ん中に立ち、すっかり人通りの無くなった街を見つめる。  誰も私のことなど見ていない。冷たい人。冷たい街。 〝私、再婚するから〟  親に、男に、コンビニにまで拒否されて。  ……私は、どこに行ったらいい?  その時、どこからか視線を感じた。  交差点を渡りきり、そっと振り返る。電気の消えた、真っ暗なイタリアンレストランの前。そのポールサインの陰に隠れるように、一人の男が立っている。  黒いポロシャツにジーンズ、伸びた髭。目深に被った帽子のせいでその目元は見えないが、こちらを見ているような気がした。  私は前に向き直り、歩いた。遅くまで店がやっている、なるべく明るい道を選んで進む。  右へ、左へ。ただただ放浪し、しばらくしてそっと振り返る。  ……やっぱり、ついてきている。  
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