佐々木くん(OL)

1/1
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ

佐々木くん(OL)

佐々木 「いらっしゃいませ」 OL 「頼んでおいた物、取りに来たんだけど」 佐々木 「あ、では お名前を………あ、はい。承知しました。少々 お待ちください」 OL 「早くしてね。急いでるから」 佐々木 「はい。……こちらですね。理想彼氏の癒しDVDで、お間違いないでしょうか」 OL 「は?ちょっと!何でタイトル言うのよ…恥ずかしいじゃない…」 佐々木 「恥ずかしい?ですか…… 別に卑猥な物ではないようですけれど…… なぜ、恥ずかしがるのです?」 OL 「だって、貴方…… こんなDVD買うなんて、まるで彼氏がいなくて一人じゃ寂しいから…みたいな感じじゃないの…」 佐々木 「彼氏いらっしゃらないんですか?」 OL 「ちょ!貴方、失礼ね……」 佐々木 「では、いらっしゃるんですね?」 OL 「い、い、いないわよ…… 何か悪い?」 佐々木 「いえ。悪いなんて言っていません。ただ、現実の世界から目を背けたままでは、幸せにはなれないと思いますが……」 OL 「失礼ね!何よ!バカにする気?私だってね過去に彼氏の一人や二人くらいいたわよ」 佐々木 「そうですか…。まあ、僕には貴方が過去に何人付き合ってたかなんていうのは関係ない話です」 OL 「は?ムカツクんだけど……」 佐々木 「でも… 現実にも素敵な彼氏候補はいるんじゃないですか?こんな架空の彼氏なんか求めてばかりじゃなく、目の前の男性にも目を向けてみては…」 OL 「……え」 佐々木 「3980円になります」 OL 「貴方がですか?」 佐々木 「はい?僕は3980円では買えません。こちらのDVDの お値段ですが……」 OL 「へ!?あ……はっ!わ、分かってるわよ」 佐々木 「ありがとうございました。……またの、御来店お待ちしております」 OL 「///////」 この日、一人のOLに勘違いさせてしまったことに全く気が付いていない佐々木くんであった
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!