夜の家

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 そして当日。私が自分の部屋に入ると父と母は家中の電気を消した。 「よし、始めよう」  父の合図で私は自分の部屋から出た。玄関まではわずかな距離だが、途中で階段を通る必要がある。私は簡単に終わらせることができると思った。  しかし私は部屋を出たとたん、得体のしれない恐怖感に襲われた。家の中が暗く、静かなだけだというのに。  私は唾を飲み込んで歩き出した。手探りで階段の手すりを探る。 『えっと、階段はどこだっけ?』  私は何とか階段の手すりを見つけると、ゆっくりと階段を一段ずつ降りる。 『見えないだけで、こんなにも怖いなんて』
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