夜の家

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 ズルッ 「あ!」  私の足が滑った。体がぐらりと前に倒れる。 『落ちる!』  私は落ちる恐怖にぎゅっと目を閉じ、体をこわばらせた。  グン! 「ぐえ!」  お腹に衝撃があり吐きそうになったが、体は前のめりになった状態で止まった。私は冷や汗をかいて肩で息をした。どうやら後ろから父が支えてくれたようだ。そして呼吸を整え、態勢を直しながら 「こ、怖かった・・・父さんありがとう」 と言った。父は何も言わなかったが、背後でほっとした空気が感じ取れた。 『見えないけど、後ろからちゃんと来てくれていたんだ』  私は背中に父がいるんだと安心し、その後何とか玄関までたどり着いた。
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