夜の家

5/6
前へ
/6ページ
次へ
 玄関で母と父の2人が待っていた。二人は家中の電気をつける。一気に明るくなった家に私は安心感を覚えた。 「無事来れたわね」 「途中階段で足が滑って落ちそうになったけど」 「え、大丈夫だったの?」 「大丈夫。父さんが後ろから支えてくれたから」  私がそう言うと2人の表情は固まった。 「何を言っているんだ。父さんはずっとここにいたぞ?」 「そうよ。電気を消してからずっとお母さんと一緒だったわよ」  2人の言うことが私には信じられなかった。 「嘘。じゃあ、私を助けてくれたのは誰?」  私は振り返って家の中を見る。さっきまで背後に感じていた気配が父のではないとすれば、一体誰だったのだろうか。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加