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結
目を覚ますと、私は寝台の上に居た。
いつものように白竜に思いを馳せたが、言葉を交わすことは出来なかった。
「緑葭、早く起きなさい!」
朝ご飯の匂いと共に母さんの声が部屋に飛び込んできて、私は慌てて返事をした。
床に足をおろすと、飛び上がりたくなる程ひやりとしていた。
窓から空を臨んでもそこに月はなく、自分の息を嗅いでみても、再びあの酒の芳しさを思い出すことは出来なかった。
(こんどはいつ会えるんだろう……)
遠い銀と紫の世界の人々。
爽やかな月夜の下、天に祝福された竹林の宴。
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