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「もしもし?保健所ですか?」
コンビニの店内は騒然とした。
何せ、アライグマの番がコンビニの商品を食い荒らして重大な被害を及ぼしたからだ。
「どうしよう・・・」
「どうしようもないよ。」
「パパー僕たちどうなっちゃうの?」
「ママーー!こわいよー!!」
アライグマ家族達は、コンビニ店員や客との『大捕物』の末にガムテープでぐるぐる巻きにされた段ボールに囚われの身になっていた。
「『コンビニ』って何だっけ?」
「人間が買い物する店だよ。」
「ということは、俺達とんでもないこと仕出かしたんじゃ・・・」
「殺されちゃうの?」
「僕ら人間に殺されちゃうの?」
狭い段ボールの中、ぎゅうぎゅう詰めにされたアライグマ家族は息苦しくなり、窒息寸前だ。
「故郷に帰れないね・・・」
父フレッドは、ボソッと呟いた。
「あんた!!何てこと言ってるの?!」
「エマー!!本当のことだろ?!」
「そもそも、誰がコンビニへ行こうと決めたの?!」
「パパ・・・」「パパァー!!」
「坊主達!何で俺が?!」
「貴方でしょ!!フレッド!!あの時コンビニの匂いを嗅いでねぇ!!」
「ああ!!俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ!!俺がどーせコンビニに行くと決めました!!」
「なあに?その態度は?」
「やる気か?」
ばそっ!!ごそっ!!ぼふ!!ぼほっ!!
「えーーーーん!!パパママぁ!!狭いとこで喧嘩やめて!!」
「あーーーーん!!むぎゅっ!!いたっ!!」
対に狭い段ボールの中、親アライグマ同士の夫婦喧嘩が勃発した。
狭いが為に巻き添えをくらう子アライグマ達は、大声で泣き喚いた。
ボスッー!!
「うっせぇんだよー!!この糞アライグマめ!!
今すぐでもぶっ殺したろうか?!」
アライグマ家族が囚われている段ボールをコンビニの店員に渾身で蹴られ、壁をバウンドして激しく変形した。
「くう・・・」
「きゅう・・・」
アライグマ家族は、突然の衝撃に皆目を回した。
「やっぱり俺が悪かった・・・責めるなら、俺を責めてくれ・・・」
「いや、私がコンビニの商品を我を忘れて食べちゃったから・・・」
「パパママごめん・・・僕たちが・・・」
ブロロロロ・・・
キィっ!
地区の保健所のワゴンがコンビニの駐車場に停まり、
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