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中から、捕獲檻を持った職員がコンビニの中へやって来た。
「これは酷い!!だからアライグマとかいう『害獣』をのさばらせてはならないんだ!!『外来種』のくせに!!」
職員は荒れ放題の店内を見回して悪態をつくと、コンビニの店員に呼び掛けた。
「すいませーん。捕まえたアライグマは何処にありますかー?」
「はーい!これでーす!コンナ暴虐アライグマはさっさと駆除してくださーい!!」
店員は、ガムテープで逃げられないようにグルグル巻きにした段ボールを保健所の職員に手渡そうとした。
モゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾ!!!
「ごるぁ!!おとなしくしやがれ!!この糞アライグマめ!!」
ドガッ!!
激怒した店員は、アライグマ家族の入った段ボールを床に思いきり叩きつけた。
「痛・・・」
「何しやがる・・・」
アライグマ家族は、いきなりの衝撃に全身に痛みが走った。
「パパァ!!」
「なんだい?アル。」
「あれを見てー!!」
「これはーー!!でかした!!」
それは今さっきの衝撃で、段ボールが柔になって出来た一筋の光だった。
「皆!!俺達はまだ助かるぞォ!!」
「じゃあ、お願いしまぁーーす!!」
「私たちが責任持って駆除しますからぁ!!」
ぎぃー!!
保健所の職員が、コンビニから出た直後だった。
「今だっ!!」
ばしゅっ!!ばしゅっ!!ばしゅっ!!
びりっ!!びりりり!!
ぱっかーーーん!!
父アライグマのフレッドは、段ボールの隙間に鋭い手の爪を差すと、八裂きに切った。
「ごるぁ!!待てェェェェェェエーーー!!」
保健所の職員の激昂を尻目に、段ボールから飛び出したアライグマ家族達は、スタコラサッサと人間の魔の手から猛ダッシュで逃げていった。
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