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昼時を少し過ぎていたし平日なので、中はそんなに混んでいなかった。
厨房の近くにいたお店の女の子に声をかけ、とりあえずカレーを注文した。
「カレーですね!少しお待ちください」
にこっと愛想良く微笑んでカウンターの奥へ引っ込む彼女は、緩く巻かれたライトブラウンの髪を1つに束ね、小麦色の肌をしていて、海にいるのがよく似合う子だった。
ショートパンツから出る脚も適度な太さで健康的。
疲れていてもついそんなところに目がいってしまうのは男のサガだろう。
海の家で出る食べ物なんて特に期待もしていなかった。
普通に美味ければいい。
カレーなら不味いってことはないだろう。
選んだのはそんな軽い理由だ。
待っている間、海の方へ視線をやった。沖に行くにつれ深いブルーになっていく水面がキラキラと反射してるのに対して
波打ち際はゆらゆら揺らめいて見える。
若者が集うこの場所は、この陽炎のように熱くて眩しくて儚い。
僕にそんな青春あったかな、と思いを巡らせようとしてやめた。
無駄なことだ。
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