【5】 ヒカリ

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 その言葉に確信して、俺は「ヒカリ」を突き飛ばした。  つきとばされたヒカリは特に驚くこともなく、俺の顔を見てふっと笑った。 「わかったんだ?」 「……まあな」 「ヒカルだったら、絶対こんなことしないもんね」 「本当なのか?」 「何が」 「本当にそうなのか? …二重人格っていうのは」 「そうだよ。あの『僕』は、ヒカル。『俺』は、ヒカリ。俺達は、まったく別のモノだ」 「でも、二重人格には元の人格がある。  お前は作られた人格なんだろう? 治療すればお前は『ヒカル』に統合されるはずだ」 「へぇ。さすが大学生。ちょっとは勉強してるんだね。  でも、俺の存在は、普通の二重人格と違う。本当に、ヒカルと俺は、別なんだ。  だから治療しても消えることはないよ。まぁ、他の奴らの前で、俺が別の人格だって気付かれるようなヘマはしないけどね」 「そんな証拠、何処にあるんだ」 「光希は疑い深いなぁ。  あ、そうだ。ちょっと見ててよ」  ヒカリは何かを思いついたように、窓の方へ歩き出した。 「光希。ヒカルに、どうしてカーテンが閉めてあるのかって聞いたよな。それは、ヒカルが太陽の光を浴びることができないからなんだよ。太陽光アレルギーっていうみたいだけどね。だから、こうして遮ってるってわけ。     
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