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その言葉に確信して、俺は「ヒカリ」を突き飛ばした。
つきとばされたヒカリは特に驚くこともなく、俺の顔を見てふっと笑った。
「わかったんだ?」
「……まあな」
「ヒカルだったら、絶対こんなことしないもんね」
「本当なのか?」
「何が」
「本当にそうなのか? …二重人格っていうのは」
「そうだよ。あの『僕』は、ヒカル。『俺』は、ヒカリ。俺達は、まったく別のモノだ」
「でも、二重人格には元の人格がある。
お前は作られた人格なんだろう? 治療すればお前は『ヒカル』に統合されるはずだ」
「へぇ。さすが大学生。ちょっとは勉強してるんだね。
でも、俺の存在は、普通の二重人格と違う。本当に、ヒカルと俺は、別なんだ。
だから治療しても消えることはないよ。まぁ、他の奴らの前で、俺が別の人格だって気付かれるようなヘマはしないけどね」
「そんな証拠、何処にあるんだ」
「光希は疑い深いなぁ。
あ、そうだ。ちょっと見ててよ」
ヒカリは何かを思いついたように、窓の方へ歩き出した。
「光希。ヒカルに、どうしてカーテンが閉めてあるのかって聞いたよな。それは、ヒカルが太陽の光を浴びることができないからなんだよ。太陽光アレルギーっていうみたいだけどね。だから、こうして遮ってるってわけ。
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