【2】 ひかりの希望

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 今のは俺の言葉だよな? 当たり前だ。目の前の華奢な体から、こんな声が出るわけがない。  昨日の俺はあんなに苛ついていたのに、どうして今日、こんなガキに自己紹介なんてしてるんだ? 「僕はね、ヒカル。『光り』って書いてヒカルだよ」 「…俺は、『光りの希望』で、光希だ」  いつもの冷めた目はどこへ行ったのか。今の俺は、ただ嬉しそうに、その少年の顔を見つめている。 「ほんとっ? おそろいだね、僕たち」 「そうだな」  朗らかに、頷いている。  ――――この俺は何だ? 妙に素直で、笑い方までいつもと違うような気がする。  それは……コイツに、会ったからなのか? 「じゃぁ、あの、光希…さん?」 「光希でいい」 「あ、うん! じゃぁ、僕のことはヒカルって呼んでね!」  そう言うと、ヒカルは嬉しそうに白いカサをクルクル回しながら、その場で二回スキップをした。高揚を体の内に留めておけない幼さに、胸があたたくなる。 どうしてだろう。「幼さ」なんてものは、俺が最も嫌いなものの一つなのに。  でも、そんなヒカルの様子を見ながら、「どうやら俺は、こいつに会いたかったらしい」、ということに気づいた。雨の日特有の体のダルさも、不快感も、いつの間にか忘れていたからだ。  その後、俺達は別れた。  話したのはほんの数分。     
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