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知ったのは、名前だけ。
「今日は帽子も白か」
一人になった道の真ん中でそう呟いた俺は、ふと足を止めた。
「…ああ…」
俺は、改めて自分の服を見た。
(ああ、そうか…)
俺はヒカルに会いたかったのか。だから、こんな黒い服を着たのか。
わざわざクローゼットの奥から黒い服を取り出すなんて、俺らしくないと思ったんだ。
「何でだ?」
昨日は、ただのうるさいガキだと思っていたのに。あの白にとても驚いたのは、確かだけど…でも、それだけで会いたくなるなんて、変だよな。
「…まぁ、いいか」
むりやり自分を納得させるように呟くと、雨の中、ほんの少し軽くなった足で家路を急いだ。
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