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【2】 ひかりの希望
ザァァァァァ…
「何なんだこの天気は…」
目を覚ますと、外は雨だった。
今日も雨。昨日も雨。明日も雨。
雨、雨、雨。ずっと雨だ。誰かが俺に呪いでもかけてるんじゃないかと、最近本気で思い始めている。
薄暗い雨空の下、俺は朝飯を片手に、コンビニからの帰り道を歩いていた。
「…黒い」
ふと自分の着ている服に目を落とすと、それは見事に真っ黒だった。
確か朝、俺は違うものを着ようとしていたはず。
目の前の曲がり角を見つめる。
「ここだったよな。…昨日、あのガキと会ったのは」
そんなことを自覚した途端、今まで早足だったのが、ひどく遅くなる。どうやっても足が上手く進まない。心臓が変な風に乱れて、下唇を強く噛む。
「――――お兄さん」
視界が白で埋め尽くされた――――そう思ったのと同時に、高い声が耳に届いた。
「お兄さん、どうしたの? お買い物?」
「……光希」
「え?」
「俺の名前だよ。冴村光希」
「こうき…」
今日も全身を白で包んだ少年は、俺の名前を口の中で繰り返すと、寛ぐように微笑んだ。
それに対して、俺の方はひどく混乱していた。
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