8108人が本棚に入れています
本棚に追加
好意を知られるわけにはいかない。でも、今のままだと騙すことになるのでは。
こんなにいい人を、俺は騙している。
『おーい、倉知君、寝た?』
加賀さんの声に、ハッとした。
「起きました。おはようございます」
『マジかよ、本当に寝てたんかよ』
楽しそうに笑う声。
「すいません……、あの、俺」
言わなきゃいけないことが。
『いいよ。寝る子は育つ。明日一時にお前が朝乗る駅で集合。オッケー?』
「……はい」
『じゃあ明日な。おやすみ』
電話が切れた。スマホをベッドに放り投げて、腰を下ろす。
言わなければ。たとえ嫌われても、本当のことを言わなければならない。
明日、言おう。心に決めた。
最初のコメントを投稿しよう!