倉知編 「恋愛感情」

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 好意を知られるわけにはいかない。でも、今のままだと騙すことになるのでは。  こんなにいい人を、俺は騙している。 『おーい、倉知君、寝た?』  加賀さんの声に、ハッとした。 「起きました。おはようございます」 『マジかよ、本当に寝てたんかよ』  楽しそうに笑う声。 「すいません……、あの、俺」  言わなきゃいけないことが。 『いいよ。寝る子は育つ。明日一時にお前が朝乗る駅で集合。オッケー?』 「……はい」 『じゃあ明日な。おやすみ』  電話が切れた。スマホをベッドに放り投げて、腰を下ろす。  言わなければ。たとえ嫌われても、本当のことを言わなければならない。  明日、言おう。心に決めた。
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