倉知編 「告白」

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 たった一日、しかも電話での会話だったが、本当に楽しかった。  加賀さんは、見た目は綺麗で知的なのに、喋ると雰囲気が変わる。少し崩れた話し方が親しみやすく、よく笑う楽しい人だ。同年代の友人たちとは違う。大人の余裕を感じる。  最初は見ているだけで満足だった。  でも一緒にいればもっと欲が出て、どんどん好きになって、あの人がいないと駄目なくらい、惚れてしまう自信がある。  深みにはまる前に、離れなければならない。  重い足を引きずり、指定された駅に着いたのは十一時を過ぎた頃だった。待ち合わせ時間は一時。あと二時間近く、どうやって時間を潰そう。  俺はスマホでゲームをしたことがない。むしろガラケーでも事足りるくらい、使いこなしていない。スマホを持っているのは、時代に乗り遅れそうな息子を心配して、母が買ってきたせいだ。  周りを見るとほとんどの人間がスマホを片手に画面を見つめている。一体何がそんなに面白いのだろう。教えて欲しかった。  スマホを操作する。加賀さんの番号を見つめた。早く着いたことを連絡しようとしたが、やめた。  あの人にとっては貴重な休日だ。高校生の俺とは休日の重みが違うと思う。わざわざ時間を作って会ってくれる。俺がどんな気持ちを抱いているかも知らずに。
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