加賀編 「七世」

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 さっきからずっと質問のオンパレードだ。倉知はキラキラした目で俺を見ている。鉄板の上で湯気を上げているお好み焼きを一瞥してから言った。 「クイズ、加賀さんの高校時代の部活はなんでしょう」 「クイズですか」  倉知は楽しそうだ。純粋な奴で面白い。 「運動部ですよね」 「うん」  じっと俺を見て、思案している。 「野球部とサッカー部ではないと思います」 「ひとまず正解」 「水泳でもないし、陸上ですか?」  わけもなくギクリとした。 「やべえ、お前なんなの、名探偵? エスパー?」 「当たり?」 「なんでわかったんだよ、俺、透けてる?」  自分の体を撫でさすって怯えてみせた。 「いや、野球とサッカーしてきた人間の体型じゃないと思って」 「体型」  なるほど。野球は尻がでかくなるし、サッカーは足が短くなる。と言われている。本当かどうかはよくわからない。 「あ」  倉知がハッとして声を漏らし、赤面した。 「すいません、別にそんなにじっくり見てたわけじゃ」 「何を今さら。毎朝見てたんだろうが」  倉知は目を伏せてから、お好み焼きに気づき「もう返していいです」と言った。 「よし、種目当てたらご褒美な」  ヘラを使い、片手でひっくり返しながら言うと、倉知が「え?」と顔を上げて固まった。なぜだろう。無性にからかいたくなる。
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