加賀編 「三人とも」

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「わかった。あとでな」  頭を撫でると、はにかんだ。六花が「はあああ」と声を上げて椅子に倒れ込む。 「やっぱり、わかるもんですね」  何が? と揃って六花を見る。 「出来上がっちゃったカップルって、雰囲気変わるんだなって。距離感? なんだろ、二人の間に流れる空気が、エロいっていうか」  首に盛大にキスマークを作っておいて、やってません、は通用しない。俺は机に肘をついて、六花から目を逸らし、何気なく窓の外を見た。人が歩いている。 「ああ、すごい聞きたい。感想聞きたい」  六花が喚いている。俺は窓の外を歩く人を目で追った。 「六花、やめてよ」  恥ずかしがる倉知の声を無視して、六花が興奮しながら言った。 「気持ちよかったですか?」  窓の外を歩く女性が見えなくなると、上の空で「うん、すげえよかった」と答えた。  キャー! と六花が奇声を発したところでドアが開き、店の男が注文したものを持ってきた。 「楽しそうだなあ、いいなあ。俺も六花さんと食事したい」  テーブルにお好み焼きの種と、焼きそばと、飲み物を置いて鉄板の火を点ける。六花は聞いていない。 「何回、何回したんですか?」     
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