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田舎
これは僕の父の実家の話しだ。
父の実家は、とある県の片田舎にある。
それも、半端な田舎ではない。
隣家まで直線距離で200mはある。
毎年、盆と正月に父が里帰りする際同行するのだが、あるのは家の裏山と田んぼと畑と梨畑…
近くを小川が流れている程度で、今時の子供達が喜ぶ遊び場所など皆無だ。
やる事と言えば、クワガタやカブトムシ等の虫取りか、小川でのフナ釣りくらいしかない。
それか、畑仕事の手伝い…
それでも子供の頃は、毎年父に連れられて、優しいお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに会いに行くのを楽しみにしていた。
遊びに行くと、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが、兄と僕に1人500円づつお小遣いをくれる。
僕と兄はその500円を握りしめて、一番実家の近くの雑貨屋に、2人で歩いて買い物に行った覚えが、30年経った今でも鮮明に甦る。
田舎の雑貨屋…今ならコンビニと言って良いだろう。
肥料から農作物の種から食料品の他、鍋やフライパンのような金物から、駄菓子まで何でも売っていた。
実家の前の農道を通り、歩道も区分されていない県道を、300m程ひたすら兄と歩いた。
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