奇妙な事件

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奇妙な事件

東京から約千キロメートル離れたある無人島、小笠原諸島から離れ、海鳥が大量に群生している奇妙な島であるミドリ島、通称「ウミドリ島」と呼ばれる離島でおかしなことが起こった。 ミドリ島を定期的に調査していた自衛隊員が島に入るなり異変に気付いた。いつもは大量のウミドリの鳴き声がして騒がしいのだが、聞こえるのは島にぶつかる「ザブーン、ザバーン」と島の岩礁にぶつかる激しい波の音だけだ。 島に上陸するや否や顔をしかめて手で覆うくらいの悪臭に襲われた。 風が収まるとすぐに腐敗臭が充満し、百選練磨の自衛隊員でも我慢できないくらい強い。 多くの自衛隊員は鼻を手ぬぐいなどのようなもので覆いはじめた。見渡すとおびただしい数のウミドリの死体を見つけた。 死んでいるウミドリの表面上には、目立った損傷が見当たらないが、奇妙なことに死んだウミドリのどれもが吸血鬼に襲われたように干からびていていた。 ある隊員がその干からびたウミドリを何羽かナイフで切り裂くと血液がなかった 自衛隊員たちはミドリ島の防衛を主たる目的としているため、この島自体に何も異常がないことから上層部に報告するレポートには現状変化なしと記載された。 そのため、この奇妙な出来事は島を探索した自衛隊員だけのものとなった。
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