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あれから・・あたしは抵抗虚しく琉生とやらの行きつけだという駅裏の喫茶店に連れてこられた。
琉生・・くんはお店の人に理を入れて一番奥の席に座った。
喫茶店なんて初めてで少しドキドキした・・・本日二度目のドキドキです。
「・・で?お前、なんで俺から逃げようとしたわけ?」
「・・・・・」
椅子に座って直ぐに相変わらず不機嫌な顔で聞かれた。
ううっ・・なんで・・って言われても答えようが無い・・てか・・なんて答えれば機嫌を損ねないで直ぐに家に帰してもらえるのだろうか――
「お前・・今朝、廊下で綾香じゃなくて俺のこと見てただろ?」
え?・・いきなり今朝の事を言われて驚いた。
嘘?・・ばればれだったんだ・・・この人・・ただ女にだらしないだけのバカじゃなかったんだ。
「・・はい」
見てたのは確かだ・・誤魔化してもしょうがない気がして・・あたしは正直に返事した。
「なんで、俺のこと見てた?」
ふぇっ・・あ・う・え・・っと噂を耳にして興味本位で見てましたなんて・・とても言えない・・どうしょ――
「ねぇ・・お前さぁ・・俺に気があるの?」
「・・・へっ」
な、なに・・この人?・・余りにも検討違いな目の前の人物の言葉に間抜けな声が出てしまった。
やっぱり・・コイツ・・バカだ、バカ男だ・・・なんでそうなるかな?
「さっき、逃げようとしたのも俺の気を引くためのポーズだろ?」
琉生くんはあたしの正面でさっきまでの不機嫌な顔とはうって変わって・・・目眩がしそうなほど妖艶な顔で微笑んでた。
うわっ・・なに・・イケメン度・・思わず見惚れて――イヤイヤ、そんな場合じゃない、しっかりしろ、あたし!
この軽薄バカ男!なんであたしがあんたなんかの気を引かなきゃならないわけ?
「・・んな訳、無いじゃない!あんたみたいに女にだらしなくて、バカで軽薄な男、誰が――!・・うっ」
「へ~俺って・・女にだらしない、バカで軽薄な男だったんだ?」
し、しまった・・・つい、心の中の声が口に出てしまってた・・・あたしは琉生くんの顔が恐ろしくて見れなかった。
「ご、ごめんなさい!お先に帰らせて頂きます」
あたしは慌てて自分の荷物をかき集めるとお店から猛ダッシュで飛び出した。
お店から慌てて飛び出したのは本日二度目です・・・もう・・やだ、今日はこんなんばっかでイヤになる。
後ろから・・・バカ男・・琉生くんの高笑いする声が聞こえた。
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