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女子生徒たちから離れて駅に向かった。
「琉生くん・・」
元カノの中の一人だった・・・残念ながら名前を思い出せない。
「・・・・・」
「ごめんね、琉生くんの顔、見たくなっちゃって待ち伏せしちゃた」
「・・・・・」
「いつも・・彼女と一緒だから声かけられなくて・・」
こういうのが一番困る。
「・・これから時間な――」
「ごめん!俺、用事あるから」
「じゃ、途中まで一緒に帰っていい?」
・・ったく、綾香に嘘をついてせっかく一人になれたのに・・・断る会話すら面倒だった。
「・・好きにすれば」
冷ややかに答えて、俺は駅へ向かって歩き出した。
帰る方向が同じ彼女は当然のように一緒に並んで歩き出した。
元カノは俺の今の彼女の事が気になるらしくいろいろと聞いてきた・・・うざい。
適当に相づちをうちながら歩いた。
夕方の駅は沢山の人で溢れかえってた・・人混み中、元カノはわざと密着してきた。
俺は嫌気がさして顔を背けると・・・見知ったヤツと目があった。
四条姫花だ・・・俺は思わず声を掛けた。
「あれ~珍しいね?こんなとこで会うなんて」
「・・・・・」
姫花は俺と目が合ったにもかかわらず・・俺の呼び掛けに返答もせず人混みの中に踵を還そうとした。
「ねえ、四条姫花さん」
俺は、逃げようとする姫花の手首を素早く掴んだ。
「・・つっ」
驚いたように振り向いた姫花は・・俺を凝視した。
「ごめん、俺、この子と話しがあるから、またね」
俺は元カノに向かって笑顔で手を振った。
「え~なに、それ?」
今迄、控えめに話しをしてた元カノは急に不機嫌になって姫花を睨み付けた。
俺が元カノと話してる間、姫花は俺の手を離そうと必死で抵抗してた。
俺は逃げられないように姫花の手首を更に強く握りこんだ。
「次は、また、私とも遊んでね」
元カノは残念そうに・・そう言い残して人混みの中へ消えてった。
「いい度胸だな・・俺から逃げようなんて」
俺は自分でも驚くくらい低い声で姫花を威嚇してた。
俺に近付く女はいても逃げようとする女は初めてだった。
・・気にいらなかった。
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