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「・・もう~琉生、汚い!」 菜緒は思いきり顔を歪めた。 「ワリィ・・」 俺は菜緒の口から、いきなり姫花の名前が出て動揺した。 「そ、その子がどうしたんだよ?」 「え?琉生、知ってるの?僕の学校で今、凄い噂になってるんだよ!」 菜緒はいつに無く興奮して俺に詰め寄った。 「あ、イヤ、知らない。・・で、どんな噂なんだよ?」 なぜか俺は咄嗟に嘘をついた。 「なんだ、知らないんだ。琉生と同じ学校だから期待してたのに・・それがさ~今時の子にしては珍しく清楚で気品があってお姫さまみたいに綺麗な子って騒がれてるんだよ」 ま・・俺も今日初めてみたけど・・・確かにそんな感じだった。 そう言えば歩斗が言ってたな・・他校でもそ噂になってるって・・アイツ・・そんな有名なヤツだったのか? 「いつも黒塗りの高級車で学校迄、送り迎えされててどこぞのお嬢様って・・ああ・・一度でいいから会えないかな」 高級車で送り迎え?・・イヤ、今日は電車に乗ってたぞ・・・名前は同じでも違う人物か?・・ でも噂の容姿は姫花に当てはまってる・・・・謎だ。 ・・友達が一人もいなくて情報が無い・・俺は歩斗の言葉を思い出した。 四条姫花・・益々、アイツの事が気になった。 菜緒は夢心地でなんか違う世界へ行ってしまったようだ。 空想好きの菜緒は自分の世界へトリップすると暫くは帰ってこない・・何時もの事だ。 俺は菜緒がテ―ブルに置いた紙袋に手を伸ばした・・ふっ・・さっきの姫花の顔が頭に浮かんだ。 ・・明日、渡してやるか。 姫花がどんな本を読んでいるのか興味が湧いた。 見ていいものか一瞬、迷ったが表紙くらいならいいだろう・・そう思って紙袋の中の本を出してみた。 なんだ・・・これ?・・男同士―― 「え~?なに、それBL小説じゃない?」 ・・BL小説?・・なんだそりゃ?・・菜緒はこっちの世界へ帰ってきてた。 「へ~琉生の知り合いってBLが趣味なんだ――え?・・ま、まさか琉生・・女に飽きて男に興味持ったとか?」 は?女に飽きて・・・男に・・? 「どう言うことだよ?」 菜緒は俺を無視して興味深げに本を読み出した。 「保険医と男子高生の話しか・・ふ~ん」 俺は菜緒の言ってる事が今一理解出来なかった。 菜緒はその本を本格的に読み始めた。 「菜緒~それ明日、忘れたヤツに返すから適当なところで切り上げて返せよ」 菜緒は生返事もいいところで益々本に没頭してた。 BLてそんな面白いのか? 本に一片の興味の無い俺には全然わからなかった。
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