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家に帰る電車の中・・・なんだか、そわそわして落ち着かなかった。
この胸に抱いてる袋の中に・・・あの本がある・・・本当は直ぐにでも読みたかったが電車の中で読む勇気はなかった。
家に着くのが待ち遠しかった。
・・にしても、男の子でもBLを読む人がいるのにビックリした。
女の子みたいに綺麗な子だった・・・なんだか・・あの子には彼女より彼氏の方が似合い――イヤイヤそれじゃリアルBLだ。
あ~頭の中がどんどん腐ってく・・くだらない妄想に耽ってるうちに電車は学校の最寄り駅に着いた。
夕方の駅は人で溢れかえってた。
駅の出口へ向かうあたしは何人もの生徒たちとスレ違った。
あ・・人混みの中に見覚えのある顔があった・・・今朝、見たイケメンだった。
独特のオ―ラを身に纏った背の高い彼は人混みの中、目立ってた。
なにやら会話しながら歩いてた・・・隣には当然・・?ん・・綾香さんじゃない違う女の子がいた・・・それも他校生の。
身体を密着させて・・かなり親密気だ・・・綾香さんという彼女がありながら信じられない。
今朝はあんなに仲が良さそうだったのに・・最低だ――うっ・・・し、しまった・・目が合ってしまった。
「あれ~珍しいね?こんなとこで会うなんて」
目を逸らしたが遅かった・・・あたしは誰に話しかけたかもわからないイケメンの言葉に返答する事なく素早く人混みの中へ踵を還そうとし――痛っ!・・いきなり手首を掴まれてた。
「ねぇ、四条姫花さん」
「・・つっ」
え?・・あたし?・・なんで名前知ってるの――
「ごめん、俺、この子と話しあるから、またね」
イケメンはあたしの手首を掴んだまま一緒にいた女の子に手を振りながら、とんでもない事を笑顔で言ってた。
「え~なに、それ?」
イケメンのせいで女の子に睨まれた。
二人が会話してる間になんとか手首を離して逃げようとするが益々きつく握りこまれて逃げられない。
あたしが必死で健闘してる間に女の子は機嫌を悪くして帰ってしまった。
「いい度胸だな・・俺から逃げようなんて」
え?・・地を這うような低い声にゾッとして思わず彼をみた。
ひっ・・だ、誰ですか?・・恐ろしい笑顔の彼はまるで別人だった。
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