7 眠れる森の古城にて

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 ぴん。  彼の指が、私の頬を軽く弾いた。 「ふふ…美咲。ずっと一緒だな」     柔らかな微笑みが私を見下ろしているのを、チラッと薄目で確認する。  くくっ、確かに『だらしない』や。    実は私、少し前からバッチリ覚醒しているのだ。  将馬さんのあの一言。  あれはやっぱり確信犯だったに違いない。  将馬さんと後藤田さんには、どこか似ているところがある。  どうやら、そのおかげで私には、一風変わった、でもたまらなく素敵な結婚生活が続きそう。  私はもう、寂しいとは思わない。  彼と、彼の周りにいる人達。  何を考えているか解らない、海千山千、深謀遠慮に長けた秘書。  シャイで真面目で最高に強いナイトさん。  知らないうちに、ピッタリの衣装を用意してくれているスタイリストさんとも、いずれは仲良くなってみたい。  そして、なんだかんだで私のことを考えてくれる、藤城の家族達。    自分がたくさんの優しさに包まれていたことに気が付いたから____    ああ、いけない。  嬉しくなったら、また眠たくなってきた。  タカトラさんの声が、再び耳に囁いてくる。  何を言ってるかは解らないが、声色はとても優しくて、時折笑い声が混じる。  すり…  彼の肩に頬を寄せると、温かな掌がそっと肩に落ちてきた。  贅沢過ぎる幸福に包まれて。  私は再び、微睡みの中に落ちていった。 (おわり)
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