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改めてお日様の下でみる彼は___
閉じられた瞼に長い睫毛が朝日を受けて、艶やかに光っている。スッと通った鼻筋の下には、キュッと引き締まった完璧な唇。
ええい、なにを躊躇っているんだい!
私はもう、サナギだった四葉美咲から、美しいチョウチョ、藤城美咲に変身したの。
愛するご主人サマを『キス』で起こすことなんて、大人の女には容易いこと。
そうは言ってもやっぱり今の私には、視覚的刺激が強すぎる。
そうだ、こうすれば見えないわ。
私はギュッと目を閉じた。
あれ?でも…彼のお口、どこだっけ?ま、いっか。
思いながらもムニュッと唇を付き出し、恐いくらいゆっくりと、彼に顔を近づけた。
と__
「フフッ、タコみてえ」
彼の含み笑いとともに、
「ふがっ!?」
後頭に強い力が押し当てられて、突き出した唇にごく軽い刺激が走った。
と思うと、すぐにそれが柔らかく湿った感覚に変わっていく。
「ん…ふ…」
……してやられた。
「ちょっと、ヤメて…」
「欲しくないんだろ?」
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