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「奥様。今日はいかがなされます」
ホテルで朝食を採った後、ボディーガードのナイトウさんが、いつものように予定を尋ねてきた。
「スミマセン。今日は…イイです。
部屋で少し、ゆっくりします」
朝食を半分ほど残し、フラりと立ち上がると、私はヨロケながら部屋へと向かった。
その少し後を、ナイトウさんが付いてくる。
「あの、本当に今日はイイですから。ナイトウさんも、たまにはユックリしてください」
「…!」
ドアの前で力なく笑った私に、彼は一瞬、戸惑うような動きを見せた。
私をどこかに案内しないと、後藤田さんに怒られちゃうのかもしれない。
でも、今の私にはそれを気遣ってあげられる余裕がない。
構わず部屋に入ろうとすると、意外にも大きな声が呼び止めた。
「あ……あの!」
「ホ?」
迷った末、彼は意を決したように顔を上げた。
「よ、良かったら!
今日は私のお薦めのスポットに、案内させて貰えませんかっ。ここからは少し遠いんですが…お、おお奥様も…か、必ず気に入りますから!」
「は、はあ…」
正直、気乗りはしない。
だけど、彼の妙な気迫に気圧されて、私は彼の提案に乗ることにした。
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