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きっかけは、
こんな何気ない兄弟の会話_____
だったのかも知れない。
私、ド庶民の四葉美咲と、日本有数の大企業、藤城グループ総帥の藤城貴彪(タカトラさん)。
私達が様々な苦難の末にめでたく結ばれてから、もう半年が過ぎていた。
(※詳しくは『今日からお前は~』を見てやってください)
結婚を期にタカトラさんは、古い屋敷を取り壊して、最新式の大邸宅を新築した。
幼少期、家族に恵まれなかった寂しがり屋の彼が縁のヒトを大勢集め、大家族での暮しが始まったのは、つい最近のこと。
その日、まだ新築の匂いのする藤城家のリビングでは、私、タカトラさん、そして弟の将馬さんが寛いでいたのを記憶している。
「ねえ…兄さん?」
ソファでダラリと寝そべっていた将馬(ショウマ)さんが声をかけると、恥ずかしくも私のお膝で寛いでいたタカトラさんは、苦虫を噛み潰したような難しい顔で返事をした。
「……何だ、将馬」
あまり詳しくは知らないけれど、異母兄弟の同い年、過去には後継者争いもあって、二人は昔からあまり仲が良くないのだ。
将馬さんはそんな彼に、チラリと一瞥をくれると、なに食わぬ顔で呟いた。
「人妻ってさあ、萌えるよね」
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