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今日からまた海外だ、とボヤいていたタカトラさんは、駄々を捏ねながらも部下に連れられ、早々に家を出ていった。
近頃の彼はやたらと海外に出ることが多く、月の半分くらいしかこの家には帰ってこない。
『海外の会社と提携しているからなんだぞ』と、ちょっとエラソーに教えてくれたが、私にはよくわからない。
はあ…
私は思わずため息をついた。
盛大すぎる結婚式を終えた私達だが、新婚旅行はおろか、二人で街を歩く、いわゆる『デート』すらしたことはない。
以前、総帥就任の前の彼ならば、私のメイド部屋に忍んで来、それはそれはアマい(?)時間を過ごしていたワケですが…
月の半分は出張で、こっちにいる時も帰って来る時間は遅いから、一緒に過ごせる正味の時間は以前の半分以下。
そんな毎日が続く中、『新婚さん』の私としては、ちょっぴり寂しかったりもする。
そりゃあね、彼の立場を思えば、そんな贅沢言えないのは分かってるよ?分かってるつもりなんだけど…
これじゃあ、ご主人様とシモベ状態であった恋人(?)時代と全く変わらない、いや、むしろそれ以下じゃないか!
あーあ。
「タカトラさんの…バーカ」
呟くように悪態をついた矢先。
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