2 連れ去られる朝

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 グルルル……    突然、生肉を美味しそうに頬ばっていた一匹が顔を上げ、歯を向いて唸りだした。  続けざまに、他の2匹も唸り出す。  何らかの異変を察知したらしい、3匹は一様に屋敷林の向こう側を見つめている。    彼らにつられ、私も目を凝らしてみる。  すると、林の間からブラックスーツにサングラスをかけた男達が4~5人現れたではないか!  それだけでも怖いのに、さらに彼等が物凄い速さでこちらへ向かってくる。  あわわわ!  これはもしや『逃○中』…  じゃない。  いわゆる『誘拐』、拉致ってやつだ!  日本では珍しいかもしれないが、ワールドワイドではお金持ちが遭遇しやすい、スタンダードな犯罪なのだからと、彼によくよく注意されてはきたけれど(ま、聞き流してたけどね)…  マサカ日本の、それも自宅で遭うなんて!  慌てて逃げようしたのはいいが、腰が抜けて動けない。  そんな私を3匹が、まるで自分の任務だとでもいうように身を寄せてガードしてくれる。  
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