7 眠れる森の古城にて

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「で?守備はいかがでございましたか」 「……聞くな」  今、私達は帰国の専用機の中にいる。    最前列に後藤田さん、2番目の列に私と彼。  以降の席には、内藤さんほかボディーガードの皆さんと、スタイリストのお姉さんが乗っている。  あの後、彼に抱かれて部屋に戻ると、物足りないとばかりにまた、何度も互いを求めあった。  おかげで私は今、隣の彼に凭れかかり、ウトウトと居眠りをしている。  そのぼんやりした意識の中に、二人の惚けた会話が入ってきた。 「まあ…  相当お疲れのようですね。  貴彪様、いいですか?世の殆どのご婦人はね、精神も肉体も、あなた様のように強壮ではございません。 くれぐれも無理をさせませぬよう…」 「よく言うよ。  …自分がけしかけたくせに」 「はて、何のことやら」  ………  何だか、相変わらずのくえない会話だ。  まあ、いいや。  彼らのおかげで私は、一時のハネムーン、最高のご褒美を貰ったんだ。  これからまた、うるさくって我儘な家族たちとの忙しい日常が戻ってくる。  まずはダメ出しをくらいながら、それぞれにお土産を配って…
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