7 眠れる森の古城にて

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 そうそう。  家族といえばコレ、将馬さんの余計な一言から始まったんだっけ。  ん?  まさか彼、こうなることを見込んであんな戯れ言を?  ん?  ん?   「ふふ…」 「おや、どうされました? お顔の造りが、ひどくだらしなくなっておられますが」 「うっさいわ!  …いや、眠りながら眉にシワをよせている。難しい夢でも見ているのか…」 「はいはい。どうぞお好きに、  今のうちにしっかり眺めておきなさい。  帰国すれば、すぐに次の予定がございますから。  何がどうあれ、私は貴方にしっかり働いてもらえさえすれば、それでいいのですから」 「…嫌なことを。 で、スケジュールは」 「は。月末までは国内勤務。明日は米国大使との会食、明日後には役員定例会。  そして来月頭に、オーストラリアに10日間…」 「ふうん…ならばそれは、今回と同じ要領で、な」  「…は、お任せを」  
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