2 連れ去られる朝

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   ガウウ……ワンワンッ!  ドーベルマンの果敢な威嚇をものともせず、胸ポケットに手を忍ばせて近づいて来る彼ら。  ワンちゃん達の守護も虚しく、あっという間に私達は取り囲まれてしまった。  黒い男達が、私に向かって距離を詰めてくると、 私を中心にして、ドーベルマン、黒ずくめの男達と、ドーナツ状の輪が出来上がる。  3匹が私の身体に張り付くように身を固め、円の半径はジリジリと縮んでゆく。  キャワンッ、キャインッ!  ワンちゃん達の鳴き声は次第に情けなくなってゆく。    クゥン…  とうとう、尻尾を下げて服従の意を示したワンコに、先頭にいた、いかにも悪そうな男がニヤりと顔を歪ませた。  たくさんいるはずの家人達は、朝が遅いため、この騒ぎに気づきもしない。  私といえば情けなくも、恐怖で声も出せず、腰を抜かして地面にへたり込んでいる。  嗚呼、絶体絶命。  タカトラさん……  迷惑かけてゴメンなさい。  私はギュウッと目を閉じた。  と_____   「お迎えに上がりました、奥様」 「……へ?_____」  恐る恐る顔を上げと、私を取り囲んでいた男達は片膝を折って、一様に頭を下げている。  ワンちゃん達に至っては、端の男から骨形のオヤツを貰って、とうに尻尾を振っていた。 「どちら……様?」  
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