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「ほら、和田さん!降りてください」
「ん~」
重い身体を担いで、タクシーから引き摺り下ろす。
ベロベロに酔いつぶれた和田さんを、
仕方なく俺の家に泊めることにした。
だって和田さん、自分の家の住所を言わないから。
「ほ、ほら、ちゃんと・・・歩いて、くださいって!」
「あるいてるよ、あるいてるって、あるいて―ー」
「はいはいわかりました。何度も言わなくていいです」
俺だっていつも以上に酒が入っている。
でも人間、自分よりも酔っている人間がいると、冷静になれるもので。
和田さんを担ぎながら、玄関を目指す。
「・・・あれ?」
目の錯覚?
酔っているから幻覚が見えるのか?
いつもは暗い俺の部屋に、
明かりが点いているように見えた。
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