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どうして明かりが点いているのか。
考えられる可能性は、ひとつ。
・・・・・・奏。
「・・・すみません、和田さん」
「んあ?」
「俺の家に、泊められなくなりました」
「はあ?なんでだよ」
「ちょっと・・・タクシーに乗るまで見てるんで、帰ってもらえますか?」
「・・・・・・ヒロ」
ベロベロに酔っ払っていた和田さんも、
俺の真剣な声を聞いて、わずかに冷静になったようだ。
「わーったよ。かえる。かえるから、かえるっつーの」
「すみません」
和田さんを担いだまま、大通りまで出てタクシーに乗せる。
ちゃんと自宅の住所を言えるようになっていたので、安心した。
自分の部屋の窓を見る。
やはりまだ、明かりが点いている。
奏が、いるんだ。
俺は駆け足で、玄関を目指す。
酒のせいで少しふらついていたけど、必死に足を動かした。
・・・奏、
早く、会いたい!
鍵を開けて、急いで中に入る。
「奏!・・・あれ?」
リビングには誰もいない。
別の部屋にいるんだろうか。
「奏!」
「・・・奏!」
俺の部屋、奏が使っていた部屋を見ても、誰もいなかった。
バスルームやトイレを見ても、誰もいない。
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