43人が本棚に入れています
本棚に追加
「奏・・・」
もう、奏のことを離したくない。
触れ合ったまま、ずっと名前を呼んでもらいたい。
ずっと・・・
「うっ!」
「・・・え?」
今、いま、なんか・・・ぐううううっって、
すごい音が・・・
奏の顔を覗き見ると、
ものすごく赤い顔をしている。
「あ、ああ、あなたのせいですからね!あなたの帰りが遅いから、だから・・・く、空腹で、変な音が」
「・・・わ、悪い」
真っ赤な顔で必死に言い訳をする奏。
「だから、夕飯を買いに行っていたんです」
「・・・あ、だから鍵がかかっていたんだ」
「それで、その・・・あ、あなたの分も買ってきましたが、もう食事は済ませたようですね」
「いや、食べる!」
喰い気味で言った俺に、少し驚く奏。
「そ、その、せっかく奏が買ってきてくれたんだし・・・・それに」
「それに・・・なんですか?」
「半年ぶりに、一緒に飯食って、風呂入って、寝て・・・
ずっと、一緒にいよう」
だって、一緒にいられるのは今だけだ。
その間は、片時も離れたくない。
奏はうつむきながら、小さな小さな声で・・・
「・・・あ、あなたがしたいなら・・・別に、構いません」
そう、言った。
最初のコメントを投稿しよう!