第3章

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第3章

玄関の扉を開けると、ふんわりと優しい肉じゃがの匂いが鼻をついた。 和食ということは、千鶴は今日からダイエット週間にするのだろう。 「ただいま」 開けっ放しになっていたキッチンの扉をひょっこりと覗き込み、中でコトコトとじゃがいもたちを煮込んでいる千鶴に声をかけた。 「あら美里ちゃん、おかえりなさい。遅かったから心配してたのよ」 「ごめん、香奈の委員会終わるの待ってたら遅くなっちゃった」 そう言いながら、私は千鶴の真横に置いてあったいももちを指でつまみ、ぱくりと口に入れた。 もちもちとした触感と口の中に広がるみたらしの甘さが、今日の疲れをほぐしてくれる。 「あ、それ明日のお弁当の分なのに」 「だってお腹空いてたんだもん」 結局今日は遅すぎるということで、クレープは食べずに解散となってしまったのだった。 「それに、今食べた1個分は千鶴さんの味身分でしょ? ダイエット、手伝ってあげる」 「あらそう、どうもありがとう」 千鶴はそう言っていーっと唇を大きく横に開き、歯をむき出しにしてきた。 私は声を上げて笑いながら、小学生みたいだと思う。 どうやらダイエット週間というのは当たっていたようだ。
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