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笑いながら彼を追いかけ、隣に並ぶと、赤みはだいぶ引いているようだった。
「なあ、花村」
彼は閉じていた唇をゆっくりと動かした。
「いつか、会えるといいな。お兄さんに」
そう言われた瞬間、私は自分の息が詰まるのを感じた。
まるで、心の中で花が咲いたようだった。
昨夜からずっと悩んでいた。
もし兄と再びつながりを持つことができたら、私はどうしたいのだろう。
その答えは、とても簡単なことだったのだ。
会いたい。
ただ、兄に会いたい。
それだけで十分だったのだ。
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