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そう気づいた時、視界がどんどんぼやけてくるのを感じた。
その向こうで、岸が再び慌てて私のことを見ていた。
「花村!? どうした、どこか痛いか!?」
その声にはっとして、私は溢れ出した涙をごしごしと乱暴にこすった。
「ごめんね、違うの、嬉しくて……」
よかった、と思った。
岸にこのことを話して、本当によかった。
「ありがとう、岸くん」
まだ零れそうになる涙をそのままに、私は笑顔で岸にそう言った。
岸はまだよくわからないと言った面持ちで私を見ていたが、おう、と言って答えてくれた。
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