6人が本棚に入れています
本棚に追加
/119ページ
第5章
硬いアスファルトを蹴り上げる度、額から滴り落ちていた汗が宙に向かって飛んでいく。
息を切らして走る私に追い打ちをかけるように、灼熱の太陽がぎらぎらと上から照りつけていた。
なぜだか晩夏の日光は、私たちがマラソンを走る時に限って妙な頑張りを発揮する。
そんなことを考えているうちに、また後ろからきていた生徒に悠々と抜かされていく。
学校の近所にちょうどいいランニングコースがないらしく、1キロ程度のコースをぐるぐると3周走らなくてはならない。
あまり運動が得意ではない私は、すでに周回遅れになっているようだった。
少し遠くでは先を走る香奈の背中が揺れている。
足は比較的速いはずなのに、体育の授業ではあまりやる気が起きないのだろうか、香奈は軽く流すようにゆったりと決められたコースをこなしていた。
最初のコメントを投稿しよう!