第5章

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第5章

硬いアスファルトを蹴り上げる度、額から滴り落ちていた汗が宙に向かって飛んでいく。 息を切らして走る私に追い打ちをかけるように、灼熱の太陽がぎらぎらと上から照りつけていた。 なぜだか晩夏の日光は、私たちがマラソンを走る時に限って妙な頑張りを発揮する。 そんなことを考えているうちに、また後ろからきていた生徒に悠々と抜かされていく。 学校の近所にちょうどいいランニングコースがないらしく、1キロ程度のコースをぐるぐると3周走らなくてはならない。 あまり運動が得意ではない私は、すでに周回遅れになっているようだった。 少し遠くでは先を走る香奈の背中が揺れている。 足は比較的速いはずなのに、体育の授業ではあまりやる気が起きないのだろうか、香奈は軽く流すようにゆったりと決められたコースをこなしていた。
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