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外に出て、お堀の所で記念撮影。 観光用に撮影ポイントが設けられていた。 胸元まである鉄パイプでできた鉄柵がある。 自撮り用に携帯を置く棚まで設置されている。 さすが観光スポットだ。 私と佳奈はお城をバックに、そこで記念撮影を撮ることにした。 そこは撮影をするのにはもってこいの場所。 お城も草木もキレイに写る。 しかし、鉄柵の向こう側はやや高さのある崖になっている。落ちたら無傷ではいられないだろう。 私たちは撮影のために棚に置かれた携帯を見ていた。 すると私は、もの凄い力で鉄柵の向こう側から、体を引っ張り上げられる感覚に陥った。 隣で携帯を見ている佳奈に助けを求めようにも、なぜか声をあげることはできなかった。 胸元まであった鉄柵が腰のあたりにまできていた。 体が少し浮いていることになる。 このままいったら鉄柵を超え、頭から崖に転落してしまう。 ガシッと腕を捕まれた。 「どうしたの?大丈夫?」 浮き出した私の体は地面にスッと落ち着いた。 これで佳奈に二回助けられた事になる。 佳奈自身はそれに気がついていない。 私が体験した不可思議な現象は、さまよえるお城の主の仕業だったのだろうか。私にはわからない。しかし、私が体験した不可思議な現象は紛れもない事実なのである。 お堀で撮った写真に、写ってはいけないものが写っていたのを知るのは、もう少しあとの事だった。 ニュースでそのお城からの転落死亡事故と、お堀での転落死亡事故が放送されるのは、さらに時間がたってからの事だった。
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