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「…って言う話がある歩道橋があれだ。」
助手席に座る隆之は、遠くに見える歩道橋を指さした。
確かに遠くに見えるそれは、見通しが良いのでハッキリと歩道橋だとわかる。
周りの景色との明らかな不釣り合いさとを感じた。
俺が運転する車は、どんどんそれに近づいていく。
いましがた聞いた話の舞台になった目の前の歩道橋。気にならないわけがない。
車は速度を維持したまま通り過ぎていった。歩道橋の下をくぐる時は特に変わったことはなかった。
ルームミラーに歩道橋が映ったとき、俺は視線をそちらに向けた。
ルームミラーには、歩道橋の上に三人の親子が並んで映っているように見えた。どんよりとした重たい空気が三人の周りを取り囲んでいたように俺には見えた。
今もその歩道橋はあの場所にあるはず。
その歩道橋の上からあなたの車が通りすぎるのを、三人はじっと見つめています。
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