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硝煙弾雨
超小型電気自動車コムスを疾駆させて阿部は台場へと向かっていた。LAWSONの専用宅配車だ。
パレットタウン大観覧車がクルクル回っている。
「頼む!間に合ってくれ!」
新崎と杏が死んだらとっても悲しい!
青春時代をともに過ごした仲間だ。
ゆりかもめが頭上を掠める。
杏の放った炎の玉が亘理を攻撃した。
亘理はサイボーグ化しているのだろうか、不敵な笑みを浮かべていた。
シャゴホッドの地下には冷凍保存されたGマートの幹部たちが眠っていた。
「ゴウノに人生を狂わされた!コイツらはゴウノの手足だ、死んで当然なんだよ」
GマートのGは江野の頭文字だったと、新崎は今になって気づいた。
「パパを殺したのは誰なの!?」
ゴットハンドと呼ばれた父だったが、休みの日にはピクニックに連れてってくれたり。お祭りのときは金魚すくいでたくさん取ってくれたりした。
杏の言葉には耳も貸さずに、一陣の風となって杏に突っ込んできた。
杏はやや腰を屈めるようにして、身構えている。
服装はLAWSONの青と白のツートンカラーの制服だ。かたや新崎は灰色の生地に、赤と黄色のラインの入ったデイリーの制服だった。
無事に終わらして、また明日からお客様に『いらっしゃいませ!ありがとうございました!』を届けたい!
「杏、伏せろ!」
新崎はマシンガンで援護した。死んだ虹原アリスが残したものだ。
タラララララッ!!
ZB26、第1次世界大戦チェコで開発されたものだ。日中戦争のときに中国軍によって使用された。
あまり撃ちまくると銃身が焼けてしまう。
しかも、この暑さだ。1分間に数十発くらいしか撃てない。
対する亘理は9ミリオートマチック拳銃だ。
「おい、女!おまえにいいことを教えてやるよ」
亘理は腹から血を流していたが、ビクともせず立っている。やがて血がピタリと止まる。
「なっ、何なのよ!化け物!」
「おまえのパパを殺したのは大野小百合だ」
「ウソッ!ママはそんなことしない!」
新崎はリュックからミネラルウォーターを取り出しゴクゴク飲んだ。もう1本を杏に向けて投げた、手が滑って亘理の足元に落ちた。
ナカにはヤマタノオロチが入っている。
「俺にこんなもんが通用すると思ったか?」
亘理はジャバジャバと水を捨てた。
「畜生!」
新崎は杏の手をグイと引いた。
死にたくない!
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