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探偵物語みたく客が刺されればいいのに
『虹原は将来の夢は何だ?』
『記者になることよ』
『虹原はキレイだからなぁ?なれるかも知れないな?』
筧くんのキラキラした顔が浮かぶ。
大学時代、階段教室での甘い恋。
大事件やアイドルのスキャンダルを追う、それがワタシの夢だった。
しかし、ワタシは茨城から編入してきたってこともあり教授たちから嫌がらせを受けた。
今みたくアカハラなんて言葉は存在しなかった。『卒業させてやるから脱いでみろ?』大袈裟でもなくよく言われた。『虹原には気をつけろよ?二次汚染しちまうからさ?』『アイツには声かけるな?就職できなくなるぞ?祟り神め』
そりゃあノイローゼにもなる。
内定は次々に取り消され、気づけば電子レンジで見知らぬオッサンの鮭おにぎりを温めている。
「可愛い顔してんなぁ?嫁に来ないかぁ?」
新沼某じゃないんだから?最低賃金ギリギリで働いてりゃ、妄想が起きたって仕方ないわよね?
「ボーッとしてんじゃねぇぞ?早くしろよ?」
ピーピー電子レンジが鳴ってる。
「ピーピーうるせーな」
「何だと?」
「いえ、電子レンジに言ったんです」
工藤俊作みたく刺されて死ね!昔流行ったドラマに出てくるぺスパに乗った探偵。
コンビニの店員に因縁をつけたことで刺されて殺される。
虹原は奄美諸島に出掛けた。リフレッシュしないと自殺しそうだ。ノイローゼには既になっている。精神安定剤なんか体を蝕むだけだ。
あの客を殺せば自殺しなくて済むかも知れないな?
奄美諸島は江戸時代の流刑地だった。
他にも屋久島、種子島、天草、五島、壱岐、隠岐、伊豆大島、玄界島、鬼界ヶ島がある。
旅の想い出?脳内をあの客に支配されてほとんど覚えてない。やっぱり殺すしかないな?
台湾にある緑島刑務所に出掛けてライフル銃を手に入れた。
「カストリ持ってきてくれねぇか?」
囚人はかなりの老人だ。
カストリってのはエロ本のことだ。昭和20年代はエロ本なんて言葉はなかったのだ。
武器とコンビニの商品を交換する。
ナカナカのアイディアでしょ?
「FRIDAYでいいかしら?」
「『リベラル』とか『マダム』とかはないのか?」
「あの~女のワタシにその手の雑誌持ってこいってゆーのは?」
「女だったんかい?即効性のある毒薬の方がライフル銃よりいーんでないかい?」
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